VimConf 2019でLTをしてきた
以下のスピンオフ、というか続編です。
まさかの1人目
レギュラーセッションの最後、Shougoさんの発表を見ていたら、それが終わるたぶん5〜10分前ぐらいにLT登壇者がステージ脇に呼ばれて、お、ついに・・と緊張を高めながら、そういえば今日って、何番目に発表するんだろう?タイムテーブルにも結局出てなかったよなあ・・なんてぼんやり考えながら登壇者が集まるそちらに向かったら、じつは発表順はすでに別ページに公開済みで、1人目でした。
*ココの下方にあるLightning Talksの項。
一応というか、最初だったらどうしよう〜ぐらいのことは思ってましたが、その確率自体は高くないはず、とも思っていたので、それを聞いたときには思わず声に出して「まじですかー」みたいな反応をしてしまいましたが、今回イベント全般の進行をされていたmoppさんが「大丈夫です」と落ち着いて言ってくれたので、「そっか、大丈夫か」と思って覚悟を決めました。
そんな発表スライドは以下です。
bit.ly
スライドの作成に際しては、最初はPerl製のApp::revealupを使っていましたが、やっぱりというかさすがにというか、Markdownだけだとどうしても細かい表現がしづらいというか、かえってしょうもない調整の手間が余計にかかるなと思って、これまで何度か使っていたKeynote.appで最後まで作って、でも最終的には上記リンク先のGoogleスライドに全部移し替えました。
一度はKeynoteで完成させたものをわざわざGoogleスライドに持っていくっていうのは、べつにそういうインポート機能もないし、実質イチから作り直すようなものなので(Googleスライドの使い方から調べたりして)めちゃめちゃ大変でしたが、でもKeynoteだとGIF動画を載せた状態で簡便に共有する、という方法がちょっとわからず、一方のGoogleスライドはURL1本で動画ごと共有できたので、しばらく逡巡しつつも「これを使うしかないか・・」と諦めて移植した感じでした。
今回のぼくの発表では、実際にVimを操作している&画面が動いている様子を見てもらわないと話にならないというか、PDFだけでは伝えたいことの半分も伝わらない感じだったので、発表中にデモをやるか、スライドに動画を混ぜるかのいずれかが必要だったんですが、この5分という限られた時間でデモもやるというのはちょっと怖すぎて、GIF動画をバリバリ挿し込んだ次第でした。
ちなみに、GIF動画の作成に使ったソフトは以下のLICEcapで、
またスライドの中盤で使った、キー入力をリアルタイムで表示するためのソフトは以下のKeyCastを使いました。
いずれも無料で、大変安定感のあるツールで、本当に助かりました。本当に・・。
解題メモ
その他、発表内容に関する具体的なあれこれは、真面目に書いてると時間かかりそうなので、以下箇条書きで。
- 全体的な構成については、発表前の月曜か火曜(10/28-29ぐらい)に1回大筋の流れができて、あとはスライドを完成させるだけ、というところまで来ていた。
- ただ、その時点での内容は、前置きの部分と、最終版のMotionsの項で扱ったバッファ内移動の話でほぼ占められていて、その他の細かい話は一切ナシ。この時はとにかく5分以内に収めることを最重視していたので、少ないネタを丁寧に解説、という感じだった。
- しかしこれ、時間内に収まるのはよいとしても、何度見直してもあんまり面白くない。カスタマーサポートがVimを使うっていう意義みたいのは伝わるかもしれないけど、たぶんぼくのプロポーザルを見て採択してくれた人はもっと「面白い」ものを期待しているはずで、そんな場所にこれを持っていくというのはちょっと違うというか、小さくまとまりすぎでは・・と思って、結局全部最初から書き直すことに。
- で、今度は逆に振り切って、とにかく話題盛り沢山の長尺版を作って、そこから削っていく作戦に。たとえば、画面分割のワザとしては下記ブログに書いた「一時的なゴミ箱ファイルをすぐに出す」というトピックも入っていて、これはかなり終盤の推敲時点まで残っていた。
- じつは今回の発表はそのVimの小ネタ一覧的なブログ記事と、少し前に沖縄で登壇したときのVimネタ(→コレ)の流れにあって、初めはそれらの内とくによく使うものをグレイテスト・ヒッツ的に紹介しようかと思っていたんだけど、途中でもっとローカルにというか、ニッチにというか、リアルなカスタマーサポートの現場の雰囲気・臨場感がわかるような感じの方が価値を提供できるのではないか・・と思って、なるべくそうなるように調整した。
- このスライド作成、かなり時間がかかることは容易に予想できたので、このために会社の半休を取ったぐらいだったが、それでも発表の1週間前ぐらいは毎日仕事が終わった後に深夜までやっていて、ほんとに大変だった・・。
- プラス、今回は業務上のお客さんにも多少なり関わってくる話題でもあるので、念のため発表の数日前に社長にもスライドを見てもらって、コメントをもらい、いくつか修正。
- 会社にはチケット代も出してもらった上に、こうして事前レビューまでしてもらう万全のサポート体制でほんとにありがたかった。
- ちなみにうちの社長はテキサスの大学出身で英語ができるので、内容チェックに加えてスライド上の英語表現も見てもらって、これも心強かった・・。
- 英語といえば、今回の英語表現は最初にカンでわーっと書いてから、Google日本語入力で差分を確認して、その後にGrammalyに突っ込んでチェックを受けて・・という工程を何度も繰り返しながら作った。結果はまあ、上々では・・?
周辺的な話
発表内容については以上ですが、イベントの進行的な部分について、もう少し。
とにかく発表前後の流れについては、前述のmoppさん他、スタッフの皆さんの準備が本当に完璧で、最良の環境で発表できたと思います。ありがとうございました。
事前の接続チェックも早い段階(LTの2つ前ぐらいの休憩時間?)でやらせてもらえて、なにしろこの接続チェックって本当にいつも鬼門というか、ぼくはこれまでもカンファレンスの登壇経験って多少はあるんですが、一回ですんなりOKっていうことがほとんどなくて、なおかつチェックできるとしてもごく短時間しかない、というケースが多いので、今回は納得行くまでできてよかったです。
ちなみに、ぼくは今回Googleスライドを使っていたので、できればスピーカーノートの機能を使いたかったんですが、事前に自宅でApple TVのミラーリングで試したときにはうまく行かず、んー、これって会場ならできるのかなあ・・と思って会場でつなげてもやっぱり駄目で(現在も原因不明)、結局普通にスライド流しながら喋ったんですが、その会場での検証にはujihisaさんがとことん付き合ってくれて、本当にありがたかったです。
あとはステージで喋ってる間、すごく見やすいところに専用のPCモニターで残り時間を出してもらっていて、めちゃくちゃ助かりました。
これもmoppさんが用意してくれたんですが、大体自分の中でも「このスライドが来たらあと何分」とか決めていたので、それとの組み合わせで非常に時間をコントロールしやすくて、実際ほぼぴったりで終わりました。
aomoriringoさんのドラも発表終了と同時に鳴って、綺麗に終わりましたね。あんまり早く喋り終わってドラが鳴らない、というのも寂しいので、ちゃんとドラで締めてもらえてよかったなあ、と。
発表が終わってから、そのまま席に戻るか、それともステージ脇の方に戻るか、一瞬迷いましたが、余韻を味わいたかったので脇に戻って、そのままコーヒーのコーナーでタリーズコーヒーをポットから入れて飲みました。まだコーヒーが残ってて良かった〜・・と心から思いましたが、ほんとに、このコーヒーがおいしかった!体中の力がフワ〜って溶けながら抜けていくような感じで、「ああ〜、終わった!もう練習しなくていいんだ!しかも、そんなに失敗しなかった!そこそこ良かった!」みたいな達成感と充実感と脱力感が一気にコーヒーと一緒に体の中を駆けめぐっていく感じで、タリーズコーヒーさんには感謝しかありません。
登壇することについて
今回のVimConfをこれだけ楽しめたのは、間違いなく、自分で発表したからだと思います。
じつのところ、今年の10月後半にはなかなか大変なことが立て続けにあって、また今までの登壇経験を振り返っても、もしプロポーザルが採択されたらもの凄い時間と労力が一気に奪われることは明らかだったので、「今回はプロポーザルはやめておこう、お客さんとして楽しもう」とずっと思っていました。
で、締切り前日までは少なくともそう思っていたのですが、一方で今回のネタ(カスタマーサポートがVimを使うという話)はずっと頭にあって、この内容はどう考えても世界で自分しか発表しないだろうし、もしそれができたらVimConfへの貢献にもなるんじゃないかなあ〜・・と思い始めてしまい、貢献・・それはVimConfのスタッフ、コミュニティ、参加者、登壇者といった関係者全体への貢献ということでもあって、そんなことができたら本当に素晴らしいことだし、その素晴らしいことをやらないだけの理由があるのか?ある?本当に?・・とか考え始めてしまい、んー、ない・・ないなあ・・と思ってしまい、というか応募するだけでもカンファレンスにとってはプラスのはずだし、とか思い始めて結局、締切りのほんと1時間前ぐらいにワッとプロポーザルを書いて提出しまして、幸い選んでもらった次第でした。
こういうイベントがその人にとって楽しいのか、楽しくないのかって、最終的には自分次第で、自分側に楽しめる土台がなかったらどんな優れたエンターテイメントでも退屈だし、逆に自分の中に楽しむ下地ができていたら他人がどれだけ退屈だと言っても楽しめるものだと思います。
その意味で、こうやって登壇者になる、発表する側になるっていうのは、その「楽しむ土台」を作るある意味一番手っ取り早い方法というか、「その瞬間を他の何にも代替できない唯一の経験にする」ための確実な方法なので、散々迷ったものの応募したというその経緯も含めて、ナイス判断だったじゃん、頑張ったじゃん自分、と思ってます。
あらためて、このような場を作ってくれたスタッフの皆さん、登壇者、参加者の皆さん、ありがとうございました。この経験をステップに、より楽しみと刺激に満ちたVimライフを送っていきたいと思います。
付録 - 再現スクリーンキャスト
今回のカンファレンスの模様については、いずれ以下で公式動画を見られるようになると思いますが、
それまでのつなぎというか、上記の付録みたいな感じで、今回の発表内容の再現スクリーンキャストを作ってみました。
本来5分の発表のための資料を使って、結局15分ぐらい喋っているのでけっこう冗長かもしれないですが、ともあれ今回喋りたかった内容は基本的に詰め込めたと思いますので、ディレクターズカット版みたいな感じで楽しんでもらえたら嬉しいです。
付録2 - 公式動画
公式動画が公開されました。以下の1分40秒過ぎからです。
www.youtube.com
すごく綺麗に撮られていて、びっくりです。音も映像も。このように記録してもらえる前提で申し込んだわけではないですが、これを目的に申し込んでもいいぐらいの仕上がり。本当にスタッフの皆さん、ありがとうございました。