YAPC::Japan::Online 2022に参加した

何年ぶり? というほど久しぶりにYAPC::Japanに参加しました。2018年の沖縄、2019年の東京に続いて3回目。YAPC::Asiaを含めると2013年から数えて6回目。

yapcjapan.org

今回はコロナ渦での開催ということもあり、オンライン。これが2,000円ぐらいの破格だったので迷う間もなく申し込みましたが、当初分はきっちり完売したようで何よりでした。

ではざっくり、振り返ります!



DAY1 (2022/03/04)

スタートはたしか18:50で、最初の乾杯が19:25ぐらいでしたが、この日は珍しく日中の仕事がかなり立て込んでしまったのでオープニングには間に合わず、乾杯直前にようやくログイン(Discordに)。YouTube Live見ながら乾杯しながら、その数時間前に届いていたperlbrewを飲みました。

今回はノベルティも飲食物も自宅に宅配される仕組みで、最高でしたね・・感染リスク、ほぼゼロ! ライス入りのスパイシーな丸ごとチキンは大変おいしく、何種類もあったオードブルやシチューもいい感じでした。とくにオードブル(というかおしゃれなツマミ)はビールが進みましたね・・今回はラムネとビールを1本ずつにしたので(ラムネ珍しかったので)、「ビール2本でも良かった・・」と思いましたが、まあ自宅なので普通に常備しているものを2本目として飲みました。

ゲスト対談

最初のゲスト対談、前半は見れなかったですが、それでもすごく良かったです。とくに昔語りをするわけでもなく、今この時の話をしているのに、空気だけはなんだかやけに懐かしい(笑)。うずらさんの喋り回し(というのか)はいつも通りで一気に「YAPCに帰ってきた!」(自分が)という感じになりました。

トーク

トーク編では@dankogaiさんの正規表現トークを聞けたのがよかったです。副音声のPerl入学式チームによる解説もあり、とくに@xtetsujiさんは正規表現や数学に大変詳しいので、その辺の相性も良かった気がします。

www.slideshare.net

懇親会・アンカンファレンス

トーク編の後は懇親会。すでに結構飲んで気分良くなってしまっていたので、最初は「懇親会の前につぶれるんじゃないか・・」とやや不安でしたが、実際はあまり飲みすぎることもなく各アトラクションを堪能しました。たぶん、オフラインだったらもっと周りの勢いに乗って飲んでしまっていたかな・・と。

Perl入学式主催のクイズ大会、充実していてよかったです。ぼくが回答するなら1問につき45分ぐらいほしかったと思いますが(笑)。参加者さん出題者さん、おつかれさまでした。

アンカンファレンス部屋もちょいちょい覗いて、ここでも久しぶりのYAPC感。まったり技術の話をしているのを良い距離感で聞けて、しかもオンラインなので資料も音声も明瞭。途中入退出が他の人の邪魔にならないのも良い感じでした。

ぜんぶ見終わり飲み食い終わり、オフラインだとその後に宿まで帰る手間がありますが、それもなく即自宅なのもオンラインの良いところ。沢山の知らない人たちと直接会って喋って得られる鮮烈な体験や、記憶への焼きつき方は薄れますが、それでもオンラインならではの良さを実感しました。

DAY2 (2022/03/05)

通常、連日開催する系のITカンファレンスだと2日目のスタートは午前からで、前日の懇親会で飲みすぎてキツい・・となりがちですが、この2日目は13:30からのスタートで大変助かりました。

しかし前夜、「あんまり飲まずに済んだ」などと思っていましたがじつは結構な二日酔いになっており(笑)、やはりお祭りだけあって普段に比べたらしっかり飲んでいたんだな・・と。オフラインだったらどうなっていたか・・。

トーク

2日目は結果的に、ずっとA会場のトークを聴いていました。といってもがっつりライブを見るという感じではなくて、リアルタイムの発表と裏トーク会場を行き来しながら自宅のタスク(家事とか)をしたりという感じ。オンラインでなければできない所業。

白方さんのコアモジュールの話はPerlっぽくてとてもよかったです。副音声のてつじさん、@shironekoさんによる話も聞きながら、より楽しめました。
argrath.ub32.org

その裏トーク、野球の解説なんかと違って解説も本編もどっちも「喋り」なので、両方同時に聞くというのはなかなか難しいですが、それでもこういった「メインの発表以外の場」が用意されているのは良い感じだと思いました。トーク後に登壇者自身の補足みたいのが聞けるのもいいですね。

続いてアナグラさんの発表、スタートと同時にピザが届いた(アナグラさん宅に)のはウケました。しかしそれを見越して「ピザ受け取り中」のスライド&コードも用意しているのがさらにすごい(笑)。

ちょうど同じ頃にウチにもピザが到着して、ほんとに来た(笑)と驚きました。宅配ピザなんてもう何年も自分では頼んだことがなかったですが、久しぶりに食べたらかなり満足。「特うまプルコギ」というメニューでした。

ちなみに、ピザハットの「ハット」はHatではなくHutだと初めて知りましたね・・(LTスポンサートークでの小ネタ)。何十年もHatだと思っていましたが。さらにちなみに、このピザハットさんのLTも最初は長めの公式CMが流れ出して、もしかしてこれだけで終わり・・? と思ってしまいましたが、その後の発表も良い雰囲気で結構熱心に聞きました。

話を戻して、アナグラさんの発表は自分にはレベルが高くて、雰囲気でやることすらできなそうなので資料を見て勉強したいと思います。
speakerdeck.com

ベストトークを取ったまかまかさんのトーク、よかったです。40分が短く感じました。あのサクサクしたテンポを保ちつつ、Acme大全の制作に関わる部分では叙情的な展開もあり、しかし湿った感じに染まるわけでもなく懐かしさと乾いたユーモアみたいなものが横溢した良い時間だったと思います。
speakerdeck.com

具体的なところだと、初期の一升瓶ラッパ飲みの表紙イラストのモデルがまかまかさんだったという話があって、「へえ〜!」と思ったり。こういう一つひとつのディテールが刺さるというか。
「この頃は年金問題が流行ったので・・その流行りを取り入れて」とかでもその都度ウケました。あと、「マルチ中毒」の元ネタはわかりましたが(昔出した自分の本の版元が「マルチチュード」とかをやっているところだったので)、「Acme::rion」は元ネタを知らず、わからず・・でも、Discordではそこがかなり盛り上がっていたので結局面白かったですね。

この「元ネタを知らないのに面白い」というのがすごくて、ハイコンテキストなのにコンテキストを共有していない人にもちゃんと面白さが届いているのが不思議です。YAPCのLTだと周りの人たちの反応がヴィヴィッドにわかるので、余計にこういう現象が起きるのかもしれないですが、オンラインでも同様にそれが体験できたのでそれもまた不思議な面白さでした。(発表者に反応が届きづらいのはつらいところですが)

あと、元々は批評系の同人サークルに間借りしていたという話も案外Acme大全の本質に触れるところのように思われ、Acme大全には真面目な批評的な観点の記事も欠かせない要素としてあるので、そういう何というかまかまかさんの批評的な物の見方というか、社会に対する論理的な意思表明のあり方みたいなものがAcme大全に表れているのかもしれないなあ、なんてことを思ったりもしました。

キーノート

本編最後のSongmuさんのキーノート。ご自身の経歴とともにこれまでのPerlYAPCとの関わりを振り返りつつ、現在の仕事を踏まえて今後を見据えるような内容でした。とくに、Launchableに関わる川口さんとの話などは新鮮なところが多くて、この発表の核心になっていると思いました。落ち着いた雰囲気で過去と未来を提示する、まさにキーノートという感じでしたね。
junkyard.song.mu

LT

LTはどれも「さすがYAPCのLT!」という感じでよかったですが、個人的には「Perl詩」(Perl Poem)が大変味わい深くてよかったです。
speakerdeck.com

深さと重さ、軽さと広がり、これらが同居してしまうのが文学の面白さで、紹介されたいくつかのPerl詩はたしかにその域に達していましたね。「プールでひと休み」の意外すぎる作者改題も必見。
たぶん、ベストLTはこれが最後まで競ったのでは? と思いましたが、実際のベストLTになったgugodさんの発表も非常に面白かったので、納得。こちらも笑いあり、頓知あり。考えたこともないことを考える時間でした。
github.com

配信のすごさ

見聞きした発表は以上ですが、今回非常に印象的だったのはとにかくオンライン開催ならではの配信で、そのクオリティがすごかったことですね。登壇者はみな遠隔地からそれぞれ参加していたと思いますが、同じ会場で発表しているのかと思うぐらいスムーズで、これは本当にスタッフの皆さんに脱帽でした。発表者が喋っている表情(動画)が画面右上に入ったり、Twitterハッシュタグ付きツイートが下の方に流れてきたり、という仕掛けもすごい仕上がり、かつ安定感。最後のLTなんてオフラインの方がよほどトラブルがあるのでは(笑)と思うぐらいスムーズな進行で驚きました。

配信については以下に関連ブログがありました。ありがとうございました。
godan09.hatenablog.com

アフターショー

終わってからしばらく裏トークAチャンネルPerl入学式を中心とした感想戦をまったり聴いていたら、いろいろ昔のことを思い出したのと、ちょうど話もひと段落したような感じだったので挙手してスピーカーに入れてもらって、あれこれ感想を述べました。この時間、自分にはとても貴重で、なぜならもうこんなふうに界隈の皆さんと直接声を交わせる機会なんて、次はいつ来るかまったくわからないので。

Perl入学式10周年

そこでも話題に出ましたが、考えてみたらPerl入学式って今年で立ち上げから10周年。すごい! ぼくが初参加したのは2年目の2013年で、趣味のプログラミングを本格的に始めたのもその年から。となると、ぼくの趣味プログラミングも来年で10周年! といっても、ぼくの場合は10年続けたというよりは単に「やめないままそろそろ10年経ってしまいそう」というだけですが・・。

Perl入学式やYAPCでは、これがなければまったく接点がなかったような人たちとの出会いがあり、その人たちは当時から今に至るまでずっと楽しそうに(もちろん見えないところでは大変な苦難も多くあるだろうけど)生き続けていて、それを見ていたら自分もやはり同じように精力的に活動したいと思うのが必然で、結果的にカンファレンスにも参加するし、自分用のプログラムを書いてみたりもするし、という。それで気づいたら10年経ってましたね。

YAPCらしさ

あと、裏トークAチャンネルで感想を話しているときに、「オンラインでもやっぱりYAPCだと思った」という話をしたら、「そのYAPCらしさってなんでしょうね」と聞かれ、ん〜、あの最初っからまったりした感じというか、「水曜どうでしょう」を見てるときみたいな、友達の家で深夜まで飲みながらダラダラ結論の出ない話をしているような心地よさもあれば、逆に技術トークを聴いてるときのあのついていけない感じ、知らない話を体全体で浴び続けるその刺激が「自由」とか「未来」への期待を感じさせたりもするっていうところかなあ・・みたいなことを言いました。

後から思うと、それはそれで全部本当なんだけど、もう少し簡潔に言ったらやっぱり「人」というか、月並みかもしれないですが、その会場(オンラインでも)で出会ったり、面識はないけど勝手に知っているその人を見かけたり、あるいはその勝手に知ってる人が別の有名な人と言葉を交わしている、その何でもないような会話をしばらく近くで聞いてみるとか、そういう一人ひとりの「人」や「場所」、そういう魅力がデカいというか、うわ〜こんな人が、こんな考え方が世の中にはあるのか〜・・という驚き、音もなく、目にも見えないけど明らかに感じる不可逆なショックというか、やっぱりそういう場がもたらす何かっていうのが「YAPCらしさ」なのかなあ、という気もします。(ぜんぜん簡潔じゃなかった!)

いや〜それにしても、おかげでまた一気にプログラミングのモチベーションが高まりました。今までもそんなにモチベーションが落ちていたわけではなく、機会があればいろいろ作ってはいましたが(最近は自分用のブックマークレットばっかりですが)、さらにグッと一段階、気持ちが高まった感じです。自由への志向が強まったというか・・やっぱりプログラミングは自由への道。やりたいこと、やれることの選択肢を増やす道。もっと時間を注ぎたい・・。

なんて落ち着いたところで、今回もこのような機会を実現してくれたスタッフの皆さん、登壇者・参加者・スポンサーの皆さん、ありがとうございました。また会いましょう!