VimConf 2019に行ってきた

2019/11/03に秋葉原のアキバホールで開催されたVimConf 2019に行ってきました。

vimconf.org

今回は終盤に行われるLT(ライトニングトーク)に採択されたので、登壇者としての参加でもありました。

参加チケット

昨年11月に転職して、フリーランスからヴェルク株式会社の社員になったわけですが、それ以降、フリーランス時代にはもちろん自費で参加していた各種ITカンファレンスの参加費を会社に出してもらっています。(RubyKaigi、buildersconなど)

今回も最初にゲットしたアーリーバード・チケットは会社に出してもらいまして、その後に個人スポンサーのチケットも購入しましたが、こちらは個人的な意向だったので自費で。とはいえアーリーバードの方が会社持ちじゃなかったら個人スポンサーは見送った可能性が高いので、やはりカンファレンスチケット代支援は大変ありがたいです。

会場下見

前回は会場の場所が自分にはわかりづらく、というか秋葉原自体、年に1回行くかどうかぐらい馴染みがないので、秋葉原駅から会場に向かったところ迷いに迷って、そこそこ早めに着くはずが超ギリギリになる大変さだったので、今回は前日に会場を下見に行くという用意周到ぶりでした。

といっても、じつは地図で見てみたら定期区間の通過駅である岩本町駅から歩いて行けそうなことに気づき、これって前回のようにわざわざ秋葉原駅から行ったのが間違いだっただけで、もっと簡単に行けるんじゃね?と思ったのでそれを試してみようと会社帰りに途中下車して寄ってみた、というだけですが、果たして岩本町駅から片道15分ぐらいで行けることがわかり、おかげで当日朝も無理なくスムーズに到着できました。

入場

当日の9時半ちょっと前ぐらいに予定どおり会場に着くと、ちょうど受付がスタートしたところだったみたいで、サクサク入場。ノベルティや通訳レシーバを受け取りましたが、このレシーバの受け渡しが早くも前回からの改善ポイントで、前回はレシーバの受信機とヘッドホンがバラバラに用意されていて、かつ自分で取るスタイルだったので*1、うかつな自分はヘッドホンだけ拾って着席してしまい、「このプラグ、どこにくっつけるんだろ・・机に挿すのか・・?」とか無駄なことをしていましたが、今回は初めの段階でそれらがくっついていた上に入場時に渡してもらったので悩むヒマもなく、大変助かりました。

ノベルティのアイススプーン、まじ最高ですね。いつもあの木やプラスチックのやつで食べようとしてアイスの方がカチカチで歯が立たないやつ! 木だと最悪折れたりしますが、これなら勝てる!

あと、DeNAさんのインサートモードのチートシート。すごい気が利いてる(笑)。誰が企画されたのかわかりませんが、このカンファレンスならではのノベルティで素晴らしいです。しばらく座右に設置しておきます。

同時通訳

午前のキーノートは2本ともに英語セッション。さっそく通訳のレシーバをがっつり使いました。

ここ数年、ITカンファレンスでこの種の通訳を聞くときには、いつも英語メインで聞いたらいいのか通訳(日本語)メインで聞いたらいいのか迷っていましたが、今回は比較的早い段階で通訳メインにしようと思っていました。

通訳メインにすると、当然のことながら意味の伝達が本人による英語よりも少し遅れること、またこれも当然のことながら、通訳後の日本語も必ずしも自然な日本語ではないので、解読の必要がゼロになるわけではなく、その辺のバランスが難しいんですよね。なので案外、これにはこれ用の技術というか、聞き方のワザというか、同時通訳への慣れみたいのが必要なのかなと思っています。

その上で、今回はやっぱり自分の英語力に頼るぐらいなら通訳された日本語の方が遥かに安心というか、せっかくのトークを聞くなら正しい意味で聞きたいと思って、なるべくレシーバに頼るようにしました。

そしていつも思うことですが、今回も素晴らしい通訳さんで大変助かりました。ありがとうございました。

キーノート

Prabir Shrestha - Vim Renaissance

そのキーノートですが、最初のPrabirさんはvim-lspの作者さん。vim-lspってたしか去年のBramさんの講演でも少し話題になっていた気がしますが(質疑応答のとき?)、結局それが何なのかわからないまま一年が過ぎ、ここでようやく「そういう感じのことか・・」とうっすら把握できた気がします。

実際、今年のトークではvim-lspに関する言及が他にもけっこうありましたし、これを機にもう少し理解を深めておきたいところです。

あと、最後の質疑で「選択肢が1つしかないのは良くない」みたいな話をしているのも印象的でした。「Both is good」と言っていたような。70:30の70の方をやるのはいいけど、それだけになったら30の人が参加できないし、30も含めてやればみんな参加できるようになる、みたいな話だと思いながら聞いていました。

それから、本題には関係ないですが、「趣味で飛行機を操縦している」という話を最初と最後の方で聞いて、なんだかそれがやけに記憶に残っています。めっちゃ世界観が変わりそうだなあって。

Justin M. Keyes - We can have nice things

2人目のキーノートはNeovimメンテナのジャスティンさん。「NeovimはVimを置き換える目的でやってるわけではないし、初めからそんなこと言ってない、Vimの最大化が目的である」みたいな話に始まり、「Vimの開発が近年活発なのは、GitHub移行の影響ももちろんあるだろうけど、Neovimの影響もあるのでは?」みたいな話など、控えめなトーンだけど言ってることはどれもストレートで、なんだか啓発される部分が多かったです。

最後にステージ前方で集合写真を撮ったとき、たまたまジャスティンさんが隣に座ったので「グレイトトークだった。インスパイアされた」と素朴に伝えたら、「よかった。退屈していたらどうしようかと思った」みたいなことをおっしゃっていました。

ランチ

お昼は今半のすき焼き弁当とベジタリアン用弁当の2種類がありましたが、前者にしました。今半のすき焼き弁当を食べるのは人生で2回めで、1回めは前回のVimConfでした。

ぼくは普段あんまり量を食べない人で、大体お弁当とかも1回では食べきれず、残して夕飯に続きを食べたりするんですが(会社で残したらタッパに入れて持ち帰る)、昨年に続き今回も珍しく完食。ベジタリアン弁当にも大変興味あったのですが(それは去年も)、ついこっちを取っちゃいますね。ごちそうさまでした。

レギュラーセッション

午後の内容については、とくに印象深かった点に絞って触れます。

mopp - Your Vim is Only for You

ちょうどぼくぐらいの習熟度の人にぴったりという印象の話で、盛り上がりました。詳しくはスライドをあらためてチェックしたいですが、すぐに使えるような考え方や技術が多くて、参考になりました。

ちなみに、ぼくの.vimrcは1,569行でした。

IK - Grown up from Vim User to Vim plugin developer side

とても良い発表でした。スライドも話しぶりも非常に完成度が高いというか、堅苦しくなく、でもゆるいわけでもなく、技術的にも興味深い内容が詰まっていて、集中して最後まで聞きました。

最初のページにスライドのデザインをした人の名前が出ていたのもよかったですね。そういうのって、初めて見たかも。そのスタイルやデザイン自体も含めて、とても好感を持ちました。

daisuzu - Usage and manipulation of the tag stack

ctagsやタグジャンプの話など。これについてはご本人と懇親会でも喋れたのですが、タグジャンプってまさに自分の次の課題という感じで、今までもなんとか習得したいと思って『実践Vim』のその周辺を読みながらけっこう試してきたんですが、結局普段プログラミングの機会自体が少ないので、一般的に行われるタグジャンプのノウハウを活かしづらいというのもあって、今ひとつ理解が進んでいないんですよね。

そこにあってこの発表だったので、上記の課題の克服に向けてすごく参考になりました。懇親会では、「来年ここでお会いするまでに使えるようになっておきます」みたいなことを宣言した気がしますが、どうなりますか・・。

gorilla0513 - My Vim life

これまでのゴリラさんのVim活動を振り返るような内容で、一番印象に残ったのは、自作のVim本が500冊も売れたこと! ものすごいですね。「Vim本なのに」という以前に、自分の書いた本がそれだけ売れるっていうのがすごいです。ページ数も130ページぐらいと言っていたと思いますが、大変な力作・労作ですね。

考えてみたら、ぼくも『実践Vim』を時々読み返す以外ではVimのリファレンス本みたいなものってあまり読む機会がないので、最近の動向をキャッチアップするという意味でも読んでみたいなあ、1,000円ぐらいだったら買いたいけど、BOOTHとかで売ってるのかな・・?と思っていましたが、これを書きながら今検索したらまさにBOOTHで&しかも1,000円で売っていたので、買いました。

gorilla0513.BOOTH.pm

楽しみ!

gorilla.vimも身近に感じられたので、機会が合ったときには参加したいと思いました。

Hezby Muhammad - Let's Play with Vanilla Vim

バニラVimって何かと思ったら、プラグインを使わないってことなんですね。その前提がないままぼんやり聞いていて、いろいろ便利だな〜・・なんて思っていましたが、終わってから「そういうことか!」と気づいたという。

でも、Agで検索とかnetrwの使い方とか、普段自分でもやったりやろうとしていたりすることに近かったので、プラグインの有無については全然意識する瞬間がなかったんですよね・・案外、自分もプラグイン依存してないときが多いのかも?

あとは、あのコマンドラインモードを使っていろいろ操作しているのも新鮮でした。あれができると本当に使いこなしてるって感じだな、と。こちらもスライド等を見ながら手元で復習してみたいです。

あと、本題とは関係ないところでもうひとつ、キー入力を動画に映していたところで、あれって何のソフトを使ってるんだろう?と思ってました。というのも、ぼくも自分のLT資料でそれをやる必要が生じて、結果的にはKeyCastというツールを使っていたのですが(詳しくは自分のLT記事にて)、それとはちょっと違うツールを使っているようにも見えたので、何を使ってるのかな・・と。考えてみたら、それって懇親会で聞くのにちょうどいい話題だったんですが、そのときには気づかなかったんですよね。今度機会があれば聞いてみたいところです(TODO)。

Tatsuhiro Ujihisa - 13 Vim plugins I use every day

実際にDEMOを交えながらujihisaさんが普段使っているプラグインを紹介していく、という、まさにそういうのが見たかった!な内容でした。

Shougoさんの昔のプラグインを含めて、open-browser.vimなどぼくが頻用しているものもけっこう含まれていて、嬉しい感じでした。

話の構成としても、1つ1つの個別のプラグインの解説がDEMOの中ではひと繋がりになっていて、気がつけばあっという間に終わっていました。こちらも後から見返して復習したいと思います。(togetterを見たら全然自分が気づかなかったプラグインのことで盛り上がっていたし・・)

Shougo - My dark plugins development history ~ over 10 years ~

レギュラーセッションの最後は暗黒美無王のShougoさんでした。

Shougoさんの発表を見るのは昨年のLT以来ですが、今回を最後に登壇はやめるということで(開発時間の確保のため)、貴重な機会に立ち会えてよかったと思います。

前回も感じましたが、Shougoさんの発表内容は非常にシンプルでいろいろ削ぎ落とされていて、入り組んだ内容でもなければ飾り気もなく、なんというか海外の人の発表を聞いてるような感覚があります。今回も淡々と語られていくトピックを楽しみました。

とくに、紙のノートを使う、という話にはすごく共感しました。ぼくも紙のメモはかなりよく使うので、「ですよね!」みたいなところもあり。

終盤ではDEMOの投映が思うようにいかない時間があって、一緒に応援しながら見つめましたが、その直後のLT準備のために自分の方が忙しくなり、結果としてどうなったのかはあまり見られませんでした。

しかしそのサポートをされていたujihisaさんと共に、Googleハングアウト等を駆使して時間いっぱいまで取り組む姿はまさにライブそのもので、この場にいてよかったなあと思いました。

Lightning Talks

Hiroaki KADOMATSU - Customer support with Vim

ということで、ついにと言いますか、VimConfでLTをしてきました。スライドはこちらです。

bit.ly

この自分の発表については一旦ここにいろいろ感想や考えたことなど書いていたのですが、あまりにも長くなって大変だったので、別記事に分けます。書いたら以下にリンクを張ります。

*この辺に。

その他の発表者のLTについては、なにしろ自分の発表で精一杯だったのであまりしっかりとは聞けなかったのですが、印象に残ったものを2つだけ挙げておきます。

higashi - Can we do Slack with Vim?

自己紹介のところはよく覚えていないのですが、若い方で、でもすごく論理的にテキパキと発表していて、すげー・・と思って見ていました。

まとめのところでは出来たこと&出来なかったこと、などを並べていて、うーん、わかりやすい!と感嘆しました。

micchiebear - Lose Weight with Vim and Go

micchiebearさんはたしか今年の初めのYAPC::Tokyoでも前夜祭でLTをしていた気がしますが、もしそうであればそのときも思いましたが、とにかくプレゼンうまいな〜、という感じでした。スライドの内容や構成が良いということかもしれないですが、全体に引き込まれる作りになっていて、実際会場もかなり湧いていたと思います。

あの短時間であれだけ大勢の聞き手を味方につけるのはやはり才能かなと思います。準備のたまものかもしれないですが、いずれにせよ自分の出来と比べると、ちょっと格の違いみたいなものを感じましたね*2

懇親会

懇親会は普段だったら当て所もなくフラフラお酒を飲みながらたたずみ、近くにいる人とポツポツおしゃべりするか、「こちらが勝手に知ってる人」に話しかけるか、という感じなのですが、後者については昨年結構実現してしまっており、新たに報告できるネタもないので今回は完全にノープランでした。

でもやっぱりというか、たしかにというか、今回はLTでそれなりに特殊な内容について話していたので、初めて会う人とも喋りやすくて、なんというか助かりました。やっぱりお互い(または片方)の背景を知っていると、それだけでも話をしやすくなるんですよね。

今回ぼくの方から声をかけたのは、先述のdaisuzuさんと、aomoriringoさんぐらいでしょうか。

aomoriringoさんはちょっと前のbuildersconの最後のLTが非常に印象的で、今回のLTを作るときも「LTであそこまで出来るんだから、小さくまとめちゃいけない、簡単に諦めるな!」みたいに自分を鼓舞したりしていたので、その辺の話をお伝えしたりしました。

その他としては、懇親会LTがすごく充実していましたね。最初がmattnさんで、うわーってなったり(語彙)、ゴリラさんのDEMOを見たり、大倉さんの矩形選択のワザも知らないものだったので、楽しみました。

今回スポンサーをしていたForcodeの大竹さんのLTを思いがけず見れたのもよかったです。ぼくは大竹さんがはてなで書いていたブログをよく読んでいて、うわー筆力ある人だなあ、と思っていたので、実際に目の前で喋ってるところを見て、昨年初めてmattnさんにお会いしたときのような感慨を抱きました。今思えば懇親会で少しでも喋っておけばよかったですが・・それはまたの機会に。

あとはgirls.vimの発表もよかったですね。ぼくはRubyの近い感じのイベント(たぶんそのLT内で言及されていたもの)に行ったりして、

note103.hateblo.jp

その一連の取り組みには共感していますが、そっか、Vimでもそういう活動が始まってたんだ、と目が覚めた感じでした。「男性が多い勉強会に参加するのは怖い(不安がある)」という女性の感じ方は、男性自身には自然にはわかりづらいことだと思いますが、同時に「わかっておこうとすべきもの」でもあるよな、と思っています。

その他

ここからは、上では触れられなかったいくつかの小ネタについて落ち穂拾い的に書いていきます。

gina.vim

たしかmattnさんの発表でも出てきたと思うんですが、その他にも何度かgina.vimの名前を見かけました。

ぼくは今VimからのGit操作はfugitive.vimを使っていて、そもそもあまり複雑なことはしないので(add, commit, pushぐらい)それで十分といえば十分な気もしますが、これを機にあらためて見ておこうかなあ、と思いました。

Googleスライド

今回は発表でGoogleスライドを使ってる人が多かったですね。ぼくもそうですが。

ちょっと前まではKeynoteとか、あとはreveal.js的なツールを使ったスライドが多かった気がしますが、だんだんこれがスタンダードになりつつあるのかな・・とか。

実際、Googleスライドはいろいろ話が早いというか、直感的に操作できて、「この辺をいじればこうなるのでは?」と思うと大体それで行けて、文字調整や各種装飾にしてもあんまり凝ったことをしないならこれで十分、て感じになるんですよね。

ぼく自身は、ひとまず次以降にスライド作るときはまずこれで行くかな・・と思っています。

1トラックの良さ

他の大きなカンファレンスでは、1日に複数のトラック(発表枠)を設けて並走するかたちをよく取りますが、これだと当然のことながら「見れない発表」が出てきます。一方、VimConfは1トラックですべての発表を網羅的に聞くことができるので、それがありがたいなあと感じます。

もちろん、複数トラックが並走するイベントにもまたその良さがあって、たとえば「そもそも全部見れないのだから、全部見る必要もない」という感じで、発表している時間帯も外のロビーとかで参加者同士で雑談したりして、その場全体を楽しむ余裕を持てるというか、そういう良さがあると思いますし、だからどっちがより良いということではないのですが、ただこの1トラック形式の良さって、非常にVimConfに合ってるなあ、全部楽しみ尽くすってことができて良いなあ、と今回あらためて思っていました。

終わりに

ということで、これだけの内容を一言でまとめるのは難しいので最後は簡単に終わりますが、今回も本当に素晴らしいイベントでした。

スタッフの皆さん、参加者の皆さん、お喋りしてくださった皆さん、ありがとうございました。楽しかった!

*1:ギリギリ入場だったからかもしれないですが。

*2:やや自分を卑下したふうな書き方ですが、素直な感想として。