TokyoGirls.rb Meetup vol.1 に行ってきた

TokyoGirls.rb Meetup vol.1 に行ってきました。

techplay.jp

昨年11月にフリーランス編集者からRailsを使うIT企業(のカスタマーサポート)に転職したので、今後はRubyコミュニティとの接点を増やしていきたいな、と思っていました。

その一環として、昨年後半には大江戸Ruby会議07に参加して、今年の春にはRubyKaigi 2019に参加するつもりですが、前者の大江戸の方で見たしなもんさんがこれに参加する、という話をTwitterで見かけて抽選に応募したところ当選。という流れで、同イベントに参加してきました。

現場の雰囲気については、ハッシュタグを追うとある程度わかるかもしれません。

https://twitter.com/search?vertical=default&q=%23tokyogirlsrb&src=typd

以下、簡単に感想を。

かなきゃん(@_kanacan_)さん

元アイドルにして携帯キャリアのエース販売員。中学のときの技術の時間? にHTMLを教わったというぐらいお若い方でウルトラカルチャーショックを受けましたが、それ以上に生き方・考え方みたいなところに刺激を受けました。

speakerdeck.com

たくましいとか強いとかしたたか、みたいなことはいくらでも言えるんだけど、今回この発表から感じたもっと本質的なところを一言で言うと、自分が何を欲しいのか、どうなりたいのか、みたいなことをすごく自覚している、あるいは自覚しようとしている、ということですね。これ、ぼくにはすごく欠けているところです。これがないと、ただフラフラ流されるままというか、本当はもっと欲しいものがあるのに、他人から「君はこれでいいでしょ?」と言われたら「あ、はい・・」みたいになってしまうんですよね。

印象的だったエピソードもいくつかありましたが、とくに残ったのはSmartHRに応募するときの話で、駄目かもしれないけど、失敗したらそれはそれでストーリーになる、というところ。ここで言う「ストーリー」というのは、仮に落ちても、その2年後ぐらいにもっと力を付けてから「一度落ちたけど、また挑戦しに来ました!」って行けばかつての失敗もストーリーとして価値を持つ、みたいなこと。これを考えて実行できるのはスゴイと思いました。

だって、そんな風に考えられるようになったら、すべての失敗は成功の一部になりますよね。

実際には、そんな風に考えたりトライしたりできるっていうことは、そのウラに何十倍もの失敗があるんだろうと想像します。それも全部引き受けながら、トライを続けるその生き方には大いに学ぶところがありました。

*参考記事として紹介された以下のブログ、あとQiitaも読み応えがありました。

しなもん(@sinamon129)さん

前述の大江戸Ruby会議07で一度発表を見ていて、それがものすごい面白かったので、今回の目当ての一つはしなもんさんの発表でした。

speakerdeck.com

果たして、その大江戸のときの話とある意味ワンセットというか、合わせて読むと一段深く楽しめるような、やはり今回も非常に面白い発表でした。

*大江戸Ruby会議07のリポートとしなもんさんのスライドは以下。

障害対応・深夜メンテナンスはすごい人がやってる印象、だからそれに憧れていた、という話。ぼくはプログラマーではないですが、すごいわかる気がしました。たぶん、そのすごい人たちもまた、そういう作業を陰惨な雰囲気で、ではなく、どこか充実した感じでやっていたのかな、という気もします。で、そういう人に自分もなりたいな、みたいなことを感じたのかな・・とか。

印象に残ったのは、できる先輩同士がやってるのを見ながら「その話、どこ見ながら言ってます?」みたいにツッコミながら追いかけていた、という話。たしかに言われてみればめちゃ効率いい方法だけど、自分だったら現場でそんな風に考えたり聞いたりできるかなあ・・と。

単純に、そういう合理的な方法を考えて実際に行動に移す、というのができてスゴイ、と感心しました。自分の今後にも参考になりそうだな、と。

スポンサーLT

スポンサーLTでは万葉の鳥井さんの発表が印象的でした。

speakerdeck.com

というのも、万葉には働き手を支えるいろんな仕組みがそろっているという話が次々出てくるんだけど、これがけっこうどれもヴェルク(昨年ぼくが転職した先)を想起させるんですよね。

ヴェルク株式会社 - board・データ分析・受託開発

*ちなみに、転職したときのぼくのブログは以下です。
http://note103.hatenablog.com/entry/2018/11/10/172527

社員それぞれの都合を最大限生かせる仕組みを用意する感じというか。あるいはぼくなりにもっと原理的なところを言うなら、社員をとことん人間扱いする、みたいな感じでしょうか。

おまけに、どちらもRailsを使ってる・・!

あえて言うと、万葉さんの方は女性の働きやすさという点でより特徴的かなと思いました。
ぼくはプログラマーではないですが(再)プログラミングの本はいくら買ってもOKと言ってもらっているので、万葉さんの以下を読みつつ、新入社員教育用カリキュラムもやってみたいと思っています。

github.com

よう(@youchan)さん

じつは今回のイベント、しなもんさんやかなきゃんさんの発表を見たいというのも大きかったですが、タイムスケジュールを見て一番期待していたのはこちらのようさんの発表で、期待に違わぬとても面白い内容でした。

youchan.org

最初に印象に残ったのは「千葉の人、いますか?」という質問で、なぜなら今は千葉のRubyコミュニティがない(アクティブではない)ので、とのこと。ぼくは千葉の人で、しかもけっこう近いところにお住まいだったので、え、だったらそれ作るの参加したい・・と思いました。(今度また何かの集まりに顔を出したらお声がけします・・)

期待していたというのは、Ruby入門みたいな話だったからですね。それは言語の勉強という意味でも、コミュニティへの入り口という意味でも。

「すべてがオブジェクト」とはRubyを語るときよく語られることですが、今回初めて「あ、なるほど・・」という腑に落ちた感じが少ししました。(まだあまりRuby自体触っていないので、本当に少しですが)

ぼくは今まで5年ほど、Perlを趣味レベルではありますがずっと触ってきたので、その辺も思い出しながら聞いていました。関数型言語と絡めたあたりの話も興味深かったです。

それから後半の、男性中心なのも問題だけど、だからって女性だけなら良いってわけでもない、偏るのが問題。という話、まったく同感でした。

問題は、そういった状況が必ずしも悪意によって生じるのではなくて、むしろ大抵の場合は単に無意識・無自覚のうちに起きてしまう、ということなのかなと。であればこその大人力・思慮・配慮が求められるということなのかなと。

言い換えると、つねに思考停止せず、より良い環境を実現するための方法を想像したり、考え続けたりすることが必要なんだろうな・・と。

そうそう、あと余談ではありますが、ようさんはRabbitを使っていましたね。

Rabbit - A presentation tool for Rubyist

やっぱりつくづく、登壇者だけでなくお客さんにもプレゼンの進捗が可視化されてすごいツールだなあ・・と思いました。少し前に自分でも使おうと思ったものの(YAPC::TokyoのLT)、ちょっとデザインのカスタマイズが難しい・・と思って諦めたことがあったので、あらためてもう少し触ってみようと思いました。

かとりえ(@katorie)さん

最後のかとりえさん、終盤の子育てを絡めた部分は時間の都合もあって概要のみという感じでしたが、具体的なチーム作業のことも多く触れつつ、全般的には女性がどんな働き方をしていけるか、ということについて一番現実的・実感的なイメージを伝える内容だったという印象を持ちました。

speakerdeck.com

Web業界・エンジニア界への惹句としてキラキラした美辞麗句はそこいら中にあって、あたかもこの業界に入りさえすればそれが実現するかのように思ってしまいがちだけど(だから気をつけて、とかなきゃさんも言っていた)、本当に必要なのは誰が具体的にどんなことをして、その結果としてどんな今があるのか、という話で、これからそういう業界に飛び込んでみたいと思っている人たち(とくに女性)にとっては貴重な話だったのではないかな、と思いました。

すべての発表が終わった後、懇親会の方は今回はパスしました。ケータリングのすごい良い匂いがしていましたが、体調が今ひとつだったので。とくに食事の席は外しておいた方が無難かな・・と。

しかし懇親会はボッチ対策でグループ分けの工夫があったようですね。

すげーアイデアだ・・とハッシュタグを見ながら思っていました。(もし残っていたらVimグループでした)

雑感

女性メインでありつつ、男性の参加も一定割合まではOK、というこのシステム、素晴らしいと思いました。

とくに印象的だったのは、質疑応答でどんどん女性参加者が発言していたことですね。それも、手元のメモを見ながら、というなんだか真面目な感じ・・すごい良いなと。

しかしこんな風なシステムだと、女性ばかりが優遇されるような雰囲気が醸されてしまうのでは? という懸念もありそうですが、この辺のコンセプト的なことについては、個人的には主催の伊藤淳一さんによる以下のブログ記事に大元のことが書かれていると思っています。
blog.jnito.com

とくに、以下2点ですかね。

  • 日本のITエンジニアの世界は、まだまだ比率的に男性の方が圧倒的に多い
  • いろんな勉強会や初心者向けのイベントもあるが、そういった場所でも男性が多いので、(主催者がいくら「女性でもOK」と強調しても)女性にとっては敷居が高い

あとは、少し前に自分の別ブログで抜き書きをしたのですが、作家の森博嗣さんによる以下の言葉も近いことを言っていると思います。

男女平等などの流れで、「女性ばかりを優遇しすぎではないのか? それでは平等ではない」と反発する声もあるのですが、これは、これまでの歴史を知らない発言だと言われてもしかたがないでしょう。つまり、それくらい女性を優遇する仕組みを押し出しても、まだまだ平等ではない、という歴史です。真っ直ぐ走るためには、ハンドルを真っ直ぐにすれば良いわけですが、今まで右に進んでいたら、左にハンドルを切らないと真っ直ぐにはなりませんからね。
森博嗣数奇にして有限の良い終末を』より/太字は原文ママ

今はまだ、ここで言う「ハンドル」を真っ直ぐにしたままでは足りない状況なのかな、と。その意味でも、とても意義深いイベントだったと思います。

あらためまして、スタッフの皆さん、登壇者さん、参加者の皆さん、おつかれさまでした。楽しい時間をありがとうございました。