日本人を語る文脈

「日本人って本当に**なやつばっかりだよね〜」みたいな話を聞くたびに、「それはナニ人に比べて?」と思う。
欧米人? それも大雑把だが、日本人にもいろいろ居るだろうし外国人にもいろいろ居ると思うけど・・みたいなモヤモヤした感じになりやすい。

とはいえ大抵はまあ、それはそれ、慣用句のようなものとして聞き流すし、自分もそういう根拠レスな時間つぶしのざれごとみたいなことはよく言うからとくに気にもしないが、この前ちょうど目の前でそういう言い方をする知り合いがいたから、
「でもべつに、それって外人と比べたうえでの話じゃないでしょ。それが日本人の特性なのかどうかもわからないでそういう言い方するの、変じゃね?」
と突っ込んだら、
「いや、俺が知ってるのはみんな日本人だから。べつに日本人がって言っても間違ってなくね」
と返された。

その発想はなかった。
たしかにサンプルがすべて日本人なら、「日本人ってやつは・・」という言い方も間違いではない。
しかしそれは、そういう言い方が本来意味するものとは違う意味になっている。その点で、そのときその言い方は二重に間違っている。言い方を変えれば「文脈が違う」。

たとえるなら、

A: 犬ってかわいいよねえ〜。
B: かわいい!超好き!
C: 俺も好き。飼ってるもん。
A: あれ、あんたの家で飼ってるのって猫じゃないっけ?
C: そうだよ。でもその猫の名前が「犬」なんだ。だから俺は「犬が好き」なんだ。

みたいなものだ。

Cの言ってることは間違っていない。Cは「犬が好き」だ。しかし言葉の上では正しくても、文脈的には明らかにずれている。
日本人の傾向しか知らない人が「日本人」というものについて語るのも同様の意味でずれている。