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大変な読書

西武新宿駅の改札からホームへ向かう階段をのぼりながら、ぼくはその人と本を読むことについて話していたのだった。その人は鷺ノ宮に向かっていて、ぼくは久米川に向かっていた。 その人は評論の仕事をしていて、だから本をよく読むのだけど本職というかご飯を食べるための仕事はべつにちゃんとあった。

それは今から8〜9年前の話で、今その人はそのライスワークも評論もその時以上のポストをもって続けているから結局かなりすごいけど、その人がそのときに言っていたのは「読書にも鍛錬と技術ってありますからね」ということだった。

自分はそれを積み重ねているからすごい、ということを言っていたのではなく、ようはいつもトレーニング的に読書をしている人は適切な仕方でたくさん深く読めるし、いきなりそうなろうとしても無理がある、というような話だった。

本を読むなんて5歳の子供でも出来ると思っていたけどそうではない。誰にでも読める本を(本当にそれを読みたいとかでもなくただ)惰性で読むことと解読するようにきっついテキストに向かい合うことはやっぱりちがう。どちらが高尚とかではなく後者をしたいならそれなりの鍛錬が必要という話。